zozo買収で話題になっているヤフーですが、ビジネスモデルや各事業のドライバーとなるKPI(Key Performance Indicator)についてまとめてみました。

ヤフーは決算説明会資料とは別に重要指標をエクセルで公開してくれているのですが、それぞれの指標が各事業とどのようにつながっているのかが分かりにくかったので、記事でまとめてみました。

ヤフーのビジネスモデル:何でお金を稼いでる?

ヤフーの事業は「メディア」と「コマース」の2種類

ヤフーの2018年度売上高は9,547億円でした。その内訳は、Yahoo!JAPANやYahoo!ニュースなどのメディア事業が31%、Yahoo!ショッピングやヤフオクなどのコマース事業が68%を占めていました。

ヤフー

メディアとコマースの主な事業内容は以下の通りです。

セグメント名 事業内容
メディア事業 「Yahoo! JAPAN」トップページや「Yahoo!ニュース」などのメディア関連サービス
コマース事業 「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!トラベル」などのeコマース関連サービス
「Yahoo!プレミアム」「Yahoo! BB」などの会員向けサービス
「Yahoo!ウォレット」「Yahoo! JAPANカード」などの決済関連サービス

メディア事業は広告、コマース事業はビジネスとパーソナルがメイン

メディアとコマースの売上高はさらに細かく分類されます。「広告」「ビジネスサービス」「パーソナル」「その他」の4つです。

メディア事業は広告収益がメインで、コマース事業はビジネスサービスとパーソナルサービスの収益がメインとなります。

ヤフー

各セグメントにおける主なビジネスは以下の通りです。

メディア事業
広告 検索連動型広告「スポンサードサーチ」
ディスプレイ広告(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)、プレミアム広告)
ビジネス CRM関連、メディア関連
パーソナル 動画関連
コマース事業
広告 ディスプレイ広告(プレミアム広告)
ビジネス 「ASKUL」、アフィリエイト関連、予約関連、「ヤフオク!」法人向けシステム利用料、決済関連、銀行業関連、クレジットカード関連等、「Yahoo!不動産」、不動産関連
パーソナル 「LOHACO」、「Yahoo!プレミアム」、「ヤフオク!」個人向けシステム利用料、クレジットカード関連、ペット用品関連、通信キャリア関連、銀行業関連、電子書籍関連、FX関連等、決済関連

ヤフー

利益の大半はメディア事業、コマース事業は低収益

先程は売上高の内訳でしたが、こちらはヤフーの利益の内訳です。

ヤフー

売上高の半分以上はコマース事業からきていますが、営業利益1,405億円の大半は利益率46.5%のメディア事業からきています。

続いてはメディア事業とコマース事業のKPIですが、まずは稼ぎ頭のメディア事業のKPIからまとめていきます。

メディアのKPI:広告収益がメインの高収益事業

メディア事業の売上の大半は広告収益であり、広告収益は「検索結果に表示される検索連動型広告」「メディアに表示されるディスプレイ広告」に分かれます。それぞれのKPIは以下の通りです。

  • 検索連動型広告の収益
  • 月間ログインユーザーID数
  • ログインユーザー利用時間
  • ヤフー
  • ヤフー
  • ヤフー
メディア事業のKPI
  • 検索連動型広告はYahoo!Japanでの検索回数がKPIとなりますがデータが公表されていません。なので開示されているデータの中では「検索連動型広告の売上高」がKPIとなります(コマース事業には検索連動型広告の売上は含まれない)。
  • ディスプレイ広告はメディアのアクセス数がKPIとなりますがデータが公表されていません。代わりにログインユーザーの合計利用時間月間ログイニューザーID数がKPIとして開示されています。
  • ネット広告市場のデータは電通が毎年公表しています。

コマースのKPI:上場子会社のアスクルがメイン

続いてはコマース事業のKPIです。コマース事業の中にはいろいろな事業が含まれているのでメディア事業よりもやや複雑です。

コマース事業の中で最も貢献が大きいのは上場子会社のアスクルですが、その他にも別の上場子会社(バリューコマース)やヤフーの独自事業が含まれています。

コマース事業の中身
  • ASKULとLOHACOを運営するアスクル(2678)とアフィリエイト関連事業を行うバリューコマース(2491)はヤフーの上場子会社なので、IRで細かく業績が公表されています。
  • コマース事業の中のビジネス売上高は2019/3期に4,020億円。そこに含まれるアスクルのBtoB事業の売上高は3,158億円(2019/5期)だったので、ビジネス売上高の70%以上はアスクルから来ていることが分かります。
  • コマース事業の中のパーソナル売上高は2019/3期に2,128億円。そこに含まれるアスクルのLOHACO事業の売上高は513億円(2019/5期)だったので、パーソナル売上高の20%強はアスクルから来ています。
  • ヤフーの独自事業としてはYahoo!ショッピングに表示される広告収益、ヤフオク!の手数料収入、クレジットカードの手数料収入などがあります。

最後にヤフーの独自事業のKPIについてまとめます。

Yahoo!ショッピングのKPI

  • ショッピング取扱高
  • 広告収益
  • テイクレート
  • ヤフー
  • ヤフー
  • ヤフー
Yahoo!ショッピングのKPI
  • Yahoo!ショッピングのKPIは、①ショッピング事業の取扱高、②ショッピング広告からの売上収益、③広告売上高を取扱高を割って得られるテイクレートとなります。
  • Yahoo!ショッピングはzozoや楽天とは異なり出品手数料は無料で広告収益で稼ぐビジネスモデルです。

その他の事業のKPI

  • ヤフオク取扱高
  • クレカ会員数
  • ヤフー
  • ヤフー
Yahoo!ショッピングのKPI
  • ヤフオク事業のKPI:ヤフオクの取扱高
  • クレジットカード事業のKPI:クレジットカードの有効会員数やクレジットカード取扱高